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出資者インタビューシリーズ vol.1 「荻原じゃなかったら、出資してない」 ~デジタルホールディングス創業者・鉢嶺登氏が語る、荻原猛という経営者の本質~

2026/5/26

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出資者インタビューシリーズ vol.1 「荻原じゃなかったら、出資してない」 ~デジタルホールディングス創業者・鉢嶺登氏が語る、荻原猛という経営者の本質~

 

スピーカー

鉢嶺 登(はちみね のぼる)

 株式会社オプト 創業者(現:デジタルホールディングス株式会社 元代表取締役会長)。

1991年早稲田大学商学部卒業後、森ビルに勤務。米国で急成長していたダイレクトマーケティング事業にいち早く目を付け、1994年にオプト(現デジタルホールディングス)を設立。日本のデジタルマーケティング業界の主要プレイヤーとして牽引し、2004年JASDAQ上場、2013年東証一部(現:東証プライム)上場を実現。世界的起業家組織・EO Japan第8代会長も歴任。2025年、博報堂DYホールディングスへの株式譲渡を経て退任。

インタビュアー

荻原 猛(おぎわら たけし) 

株式会社ロケットスター 代表取締役社長 CEO。

2000年にオプト(現デジタルホールディングス)入社。2006年に広告部門の執行役員に就任。2009年にソウルドアウト株式会社を共同創業し代表取締役社長に就任。地方中小企業のデジタルマーケティング支援を事業の柱に据え、2019年東証一部(現:東証プライム)上場を実現。2022年、博報堂DYホールディングスによるTOBで完全子会社化。2023年4月、50歳で三度目の起業となるロケットスターを設立し、マイクロキャップ領域に特化したサーチファンドを運営する。

■ ロケットスターへの出資を決めた理由

荻原:本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。鉢嶺さんには我々ロケットスター1号ファンドへのご出資をいただきまして、改めて本当に感謝しています。私たちロケットスターは、マイクロキャップ領域に特化したサーチファンドとして、中小企業の事業承継と経営グロースを支援する仕組みを作ってきました。今日は、なぜ我々のファンドにご出資いただけたのか、そして荻原猛という経営者をどう見ているのか、率直にお聞かせいただければと思います。

鉢嶺:こちらこそ、呼んでくれてありがとう。楽しく話しましょう。

でも出資の理由なんて答えは一つですよ。オギちゃん(荻原のこと)だから、それだけ(笑)。

私はベンチャーファンドには基本的に出資しないんですよ。自分で目利きできてしまうから。あと、リーマンショックで痛い目にあってから、流動性がないものには基本出資しないというスタンスで来ている。だからファンドに出資しているというよりは、「オギちゃんに出資している」という感覚なんですよ。オギちゃんじゃなかったら出資してない。それははっきり言えます。

荻原:そこまで言っていただけるとは。身が引き締まります。

鉢嶺:自分が個別企業にエンジェルとして出資する時は、大体500万円未満にしているんですよ。ベンチャー企業側からすると、資金だけでなく、鉢嶺の名前が欲しいという面もある訳ですから。でも、鉢嶺登が出資者として入っていると、それなら大丈夫だろうと他の投資家が安心して審査が甘くなって入ってきてしまうことがある。過去にそれで損させてしまったこともある。だからこそ、金額が少なくても、人として信用できるかどうかをちゃんと見て出資しないといけない。名前を出す以上、それだけの責任があるんですよ。

■ 出資する人間を見極める際に何を見るか

荻原:鉢嶺さんはエンジェル投資もされていますが、出資する人間を見極める際に何を見ていますか。

鉢嶺:まず絶対に見るのは、人として信用できるかどうか。社員を採用する時もそうですが、まずそこは外せない。ビジネスモデルや市場よりも先に、この人間は大丈夫かを見ます。

そしてプラスアルファはやっぱり目線の高さ。目標が高い人の方が、圧倒的にリターンも大きいし、成功するし、周りの人も応援したくなる。売上十億円を目指しています、という人は誰も応援したくないじゃないですか。大きな夢を本気で語れる人の方が、どうやって実現するのかと思わせるし、いろんな人が巻き込まれていく。そういう目線感の高さを見ています。

あとね、大事なのはエネルギーの量なんですよ。大きな目標を語っている人って、エネルギーが非常に大きい。話していて笑ってしまうくらい(笑)。何それ、本気で言っているの?みたいな。それが可愛げだったりもするけど、そういう人ってやっぱり人を巻き込む力がある。逆に、こじんまりしていて頭は良さそうだけど、エネルギーが小さい人って、うまくいかない。そこはもう長年見てきて確信しています。

荻原:エネルギーの量というのはよくわかります。確かに、目標が小さい人って、なんというか自家発電できるエネルギー量が小さい感じがします。エネルギーが小さいと、これから起こるであろう経営困難に向かっていけるのかな、と思ってしまいます。

鉢嶺:そうそう、まさにそれ。自分でエネルギーを作れる人って、周りを引っ張っていく力が全然違う。投資家や銀行からお金を調達してリスクを背負って、いろんな人を巻き込んでいく人って、やっぱりエネルギーが違う。それが最初からわかる人かどうかを見ているんだと思います。

■ ソウルドアウト時代の荻原をどう見ていたか

荻原:ソウルドアウト時代の私は、外からどう見えていましたか。伸びてきたな、と感じたのはいつ頃でしたか。

鉢嶺:やっぱりソウルドアウトの社長になってから、変わったよね。非常に変わったと思います。

あの頃ね、オギちゃんが定期的に報告に来てたじゃないですか。会うたびに、アドバイスを求めながら、自分の考えをどんどん整理してくる。理念を言語化して文字に落としたり、中期の戦略を絵にして持ってきたり。あれを見て、ああ変わってきたなと思った。ビジョンがどんどんブラッシュアップされていくのがわかったし、経営理念が固まるとブレないじゃないですか。その上で、現場で実践しながら、その通りにいかないから繰り返してPDCAを回す。オギちゃんはそのサイクルを真剣に回していたと思います。

でも結果は当初出ていなかった。役員会で「達成していないじゃないですか、いつまで応援するんですか」みたいな声が出ることもあった。でも私はオギちゃんたちのプロセスを見ていて、KPIもどんどん上がっているなとわかっていたから、絶対結果が出るという確信がありました。ビジネスって、プロセスをちゃんと見れる人間には次が見えるんですよ。数字だけ見て判断している人には見えない部分がある。

あとね、オギちゃんが中央大学でMBAを取ったじゃないですか。あれも大きかった。通い始めてから発言が変わったもん。想いや情熱だけじゃなくて、戦略的に、論理的に話せるようになっていった。

荻原:ありがとうございます。中央大学のMBA取得は自分の中でも大きかったですね。フレームワークやケーススタディを自社に当てはめて考えたりして、楽しかったです。色々な分野の方が生徒にいて刺激になるし、田中洋先生のゼミでマーケティングを改めて基礎固め出来ましたし。

でも自分の根本になっているのはオプト時代の経営者育成研修ですよね。あの研修は本当にインパクトが大きかったです。勉強すると事業に直接使える実感があって、しかも同期の仲間たちとの競い合いがある。負けられないという気持ちが自然と出てくる環境で。あの頃に、絶対に一流の経営者になるんだと心から思った気がします。その土壌はオプト時代に培ったものだと、今でも思っています。

鉢嶺:そうだよね。社内でバチバチやりながらも仲がいい、あの文化はすごく良かったと思う。ああいう環境にいたから、大きな目標を持つことが当たり前になるんだよね。

オギちゃんはね、オプトにいた時からそういう目線が高かったと思いますよ。オプトを辞めて起業している人って何百人かいると思うけど、大きくしている人って限られている。それは大きくしようと心から思っていなかったら絶対なれないわけで。最初の志がやっぱり重要なんだよ。

■ 伸びる社長とそうでない社長の違い

荻原:長年多くの経営者を見てきた中で、伸びる社長とそうでない社長の違いはどこにあると思いますか。

鉢嶺:やっぱり目線の高さと、エネルギーの量。それとマーケット選びですね。

想いや情熱だけではビジネスは大きくならない。同じエネルギーで頑張っていても、伸びている市場にいる人と、縮んでいく市場にいる人とでは、結果が全然違ってくる。これはもう構造の問題ですよ。だから優れた経営者というのは、今どの波が来ているのかを感じ取る嗅覚を持っている。そして、ここじゃないと思ったら躊躇なく動ける。

ただ、そのマーケット選びができるのも、結局は目線の高さがあるからなんですよね。目線が低い人って、目の前のことで手一杯だから、潮目を読む余裕がない。大きなビジョンを持っているからこそ、世の中の流れが見えてくる。だから最後はまた目線の高さとエネルギーに戻ってくるんだけど、その二つが揃っているからこそ、波に乗るタイミングも掴めると思っています。

EOに入って非常に刺激を受けたのは、設立当時のメンバーは30人ぐらいしかいなかったけど、夢だけは大きかった。みんな絶対大きくなってやるぞという、エネルギーがものすごくあった。誰も上場していなかったけど、夢が大きかった中核メンバーたちは全員成功した。やっぱりそのエネルギーが呼び込むんだよね。

成功というのは、能力だけじゃなくてエネルギーが先にあって、それが人を巻き込んで実現していくものだと思っています。

そういう意味で言うと、オギちゃんはソウルドアウトの時代に地方のデジタルマーケティングという伸びる市場に飛び込んだ。そして今度は事業承継という次の大きな波に飛び込んでいる。時代の潮目を読む目は持っていると思う。想いだけじゃなくて、ちゃんと波に乗っている。

荻原:ありがとうございます。事業承継の社会課題は、実は10年後がピークで、今後10年増え続けていく時期でもあります。後継者不足で困っている会社が出てくるのはまだまだこれからで、その課題のピークに向かって市場が拡大していくと思っています。だからこそ今このタイミングでしっかり基盤を作ることが重要だと考えています。

鉢嶺:そうだよね。伸び続ける市場に、ちゃんと先に入って実績を積んでいる。それが強い。あとはその市場でどれだけ再現性を持って結果を出せるかだから、オギちゃんにはそれを証明し続けてほしいね。

 

■ 年間レポートを見ての感想

荻原:1号ファンドの年間レポートをご覧になって、率直な感想をお聞かせいただけますか。

鉢嶺:驚きましたよ。承継した会社が全社伸びているの?って(笑)。しかも初年度から。

正直に言うと、自分自身の経験で言うとM&A投資はほぼ失敗しているんですよ。なぜかというと、ベンチャー投資って社長を見るから、この社長ならいけると思って出資する。目利き力があるから大よそ勝てる。でもM&Aの場合は大体社長が辞める。辞めるから会社を売るわけなんだけど、そうなると会社の器、ビジネスモデルや組織を買うことになる。それが中々うまくいかない。

だから今回のオギちゃんのプランは、M&Aをして、そこに新しい社長を就任させるという話だから、本当にうまくいくのかなと思っていたんですよ。自分の経験上。それに、その社長のエネルギーがあるのかもわからないし、思い入れがあるのかもよくわからないから。そしたら全社が業績伸びているというんだから、素晴らしいと思って。

荻原:ご出資いただく時に、うまくいかないかもしれないとおっしゃっていたのを覚えています(笑)。それでも応援してくださって、本当にありがたかったです。

鉢嶺:いやそれは本音だったからね(笑)。でもそれを覆してきたのがすごいところで。このサーチファンドというモデルは日本ではまだ新しいモデルだから、具現化できたというのは本当に価値があると思います。

■ 2号ファンドに向けて期待すること

荻原:2号ファンドに向けて、荻原猛というGPに期待することをお聞かせいただけますか。

鉢嶺:まずね、承継した会社が今の規模感であれば、オギちゃんの周りの友人たち、上場しているベンチャー企業の社長たちが買い手になれると思う。10億円未満のサイズなら、キャッシュで買える社長はたくさんいる。オギちゃんのネットワークで十分戦える。

ただ、2号でファンドサイズを大きくして、案件の数や規模も上がってくると考えると、もう一ランク上の、時価総額が大きい事業会社のトップや、PEファンドの方々との関係を今から積み重ねておかないといけない。今のうちからそのネットワークを構築していくかどうかで、2号、3号の出口の質が全然変わってくる。

今のターゲットとマーケットがちょうど合っているから成功できているんだけど、大きくするぞとなるとゲームのルールが少し変わる部分もあるから、そこを意識してほしいね。

あとはやっぱり、高い価値で売却できるかどうかを証明してほしい。買えた、伸ばせた、は見えてきた。あとは売れた、を早めに見せてくれれば、このファンドは本物だと言える。オギちゃんなら絶対できると思っているけど、早めに証明してほしいね。応援しているよ。

荻原:ありがとうございます。その言葉、しっかり受け止めます。いただいたアドバイスの通り、動いてみたいと思います。いつも有用なアドバイスをいただき、ありがとうございます。また本日もインタビューの機会をいただきまして、ありがとうございました。

※本インタビューは2026年5月に実施しました。内容は本人確認のうえ掲載しています。

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